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アメリカ文学
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ビラヴド
1987年発表、トニ・モリスン著。南北戦争後のオハイオを舞台に、逃亡奴隷の母セシーが自ら手にかけた幼い娘の亡霊に取り憑かれる物語。実在した逃亡奴隷マーガレット・ガーナー事件を下敷きに、奴隷制が人間の魂に刻んだ傷を「記憶」の概念で解剖する。1988年ピュリッツァー賞受賞。
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キャッチ=22
1961年刊のジョセフ・ヘラー小説に由来する語。「狂人は飛行免除を申請できるが、申請すること自体が正気の証明になる」というループ的矛盾から生まれた。今日では官僚制・組織論・意思決定論において、構造が生み出す脱出不能な罠を指す普通名詞として英語圏に定着している。
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エデンの東
1952年刊行のジョン・スタインベック畢生の長編。カリフォルニア州サリナス渓谷を舞台に、トラスク家とハミルトン家の二世代を追う。ヘブライ語「ティムシェル(汝は征服できるであろう)」に宿る自由意志の問いが主題の核を成す。
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怒りの葡萄
ジョン・スタインベックが1939年に発表した長篇小説。ダストボウルに故郷を奪われたジョード一家がオクラホマからカリフォルニアへルート66を行く旅を描く。ピューリッツァー賞受賞。スタインベックの1962年ノーベル文学賞に最も貢献した作品とされる。経済的弱者の連帯と搾取の構造を描いた20世紀アメリカ社会小説の頂点。
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重力の虹
1973年刊行のトマス・ピンチョン著。第二次世界大戦末期のV2ロケット開発計画を舞台に、400人以上の登場人物と複数の錯綜するプロットが展開する。「何者かに制御されている」という偏執的世界観を体現し、全米図書賞を受賞。ポストモダン文学の金字塔とされる。
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草の葉
1855年、ウォルト・ホイットマンが自費出版した詩集。韻律を捨てた自由詩で「自己の歌」を高らかに謳い、民主主義・肉体・死生観を包括的に探求した。生涯9版の改訂を経てアメリカ文学の聖典となり、近代以降の詩的前衛を決定的に形成した。
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ロリータ
ロシア系アメリカ人作家ウラジーミル・ナボコフ(1899-1977)が1955年にパリで刊行した長編小説。12歳の少女ドロレス・ヘイズへの偏執的な愛を独白形式で描く。禁書論争を経て20世紀英語文学の傑作と評価され、「不信頼な語り手」技法の代表例として現在も論じられる。
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路上
1957年にジャック・ケルアックが発表したアメリカ小説。主人公がアメリカ大陸を繰り返し横断する旅を描き、ビート・ジェネレーションの精神的聖典となった。安定・消費・順応という戦後的価値観に背を向け、速度と即興と自由を肯定した文学的宣言である。
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スローターハウス5
1969年刊行。主人公ビリー・ピルグリムは第二次大戦中のドレスデン爆撃を生き延び、時間旅行者となる。「そういうものだ(So it goes)」という反復句が死の普遍性を静かに告げる。反戦・反英雄・SF的時間論が交差する、ヴォネガットの代表作にして20世紀アメリカ文学の頂点のひとつ。
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夜はやさし
1934年刊。フィッツジェラルドの最後の完成長篇。フランス・リヴィエラを舞台に、精神科医ディック・ダイヴァーが患者だった富豪の娘ニコルと結婚し、彼女の回復と引き換えに自己を失っていく過程を描く。才能・魅力・知性を持ちながら他者の回復に消費されていく人間の悲劇。
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アラバマ物語
1960年にハーパー・リーが発表し翌年ピュリッツァー賞を受賞した長編小説。1930年代の架空の町メイコムを舞台に、弁護士アティカス・フィンチが人種偏見の渦巻く法廷で黒人男性の無実を訴える姿を、娘スカウトの視点から描く。道徳的勇気と共感の古典として今日も読み継がれている。
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ウォールデン
1854年刊行。ソローがマサチューセッツ州コンコード郊外のウォールデン池畔に小屋を建て2年余りを独居した記録。産業化・商業化への批判を根底に、簡素な生活と自然観察を通じて真に生きることの意味を問う。超絶主義思想の代表的散文。
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禅とオートバイ修理技術
1974年刊行のアメリカ哲学的小説。ロバート・M・パーシグがバイク旅を通じ、古典的・ロマン的思考の対立と「クオリティ(Quality)」の本質を問い直す。技術と人文の統合を目指した20世紀の哲学的ベストセラー。