宗教 2026.04.14

スンナ派

イスラム教徒の約 85%を占める最大宗派。ムハンマドのスンナ(慣行)に従うことを名とする。

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概要

スンナ派(スンニ派、Sunni、アラビア語 أهل السنة 「スンナ(預言者の慣行)に従う者たち」)は、イスラム教の最大宗派。世界のムスリム約 18 億人のうち、約 85%がスンナ派である。

主要分布:中東全般(サウジアラビア、エジプト、トルコ)、北アフリカ、東南アジア(インドネシア、マレーシア)、南アジア(パキスタン、バングラデシュ)など。

シーア派との分岐

スンナ派の成立は、ムハンマド死後(632 年)の後継者問題に遡る:

争点

ムハンマドには男子の後継者がいなかったため、共同体(ウンマ)の指導者(カリフ)を誰が継ぐかが問題となった。

  • スンナ派 — 共同体の合意(イジュマー)で選ぶべき。実際、アブー・バクル、ウマル、ウスマーン、アリーの4 代の正統カリフが選出された
  • シーア派 — ムハンマドの血縁(いとこで娘婿のアリー)が後継者であるべき

この対立が 656 年以降の内戦(特に カルバラーの悲劇、680 年、アリーの息子フサインの殺害)を経て、恒久的な分派となった。

スンナ派の法学派(マズハブ)

スンナ派は内部に 4 つの主要法学派を持ち、それぞれが正統として共存する(シーア派と異なる柔軟性):

  1. ハナフィー派 — 中央アジア、トルコ、南アジアで優勢
  2. マーリキー派 — 北アフリカ、西アフリカ
  3. シャーフィイー派 — エジプト、東南アジア
  4. ハンバリー派 — サウジアラビア(厳格)

これら 4 派は互いを正統と認め合う。「多様性の中の統一」はスンナ派の特徴である。

法源の階層

  • クルアーン — 神の啓示、絶対的権威
  • スンナ(ムハンマドの慣行)— ハディースに記録される
  • イジュマー(共同体の合意)
  • キヤース(類推)

スンナ派の組織特徴

  • カリフ制の伝統(1924 年にオスマン帝国が廃止するまで継続)
  • ウラマー(宗教学者)を中心とする分権的権威
  • モスクの独立性
  • 現代では 国家とのゆるやかな結合(政教分離 vs 一体の程度が国により異なる)

現代の主要潮流

  • サラフィー主義 — 初期イスラムへの回帰を説く原点回帰運動
  • ワッハーブ派(サウジアラビアの国家イデオロギー) — 18 世紀アラビアの厳格改革運動
  • ムスリム同胞団 — 20 世紀エジプト発祥、政治的イスラム
  • スーフィー — 神秘主義。スンナ派内の重要な潮流

現代への示唆

スンナ派の分権的権威構造と多様性の包摂は、組織論的に興味深い:

  • 単一絶対権威の不在 — カリフ制廃止後も存続している柔軟性
  • 複数法学派の共存 — 合理的に異なる判断を並列して認める
  • 地域差の容認 — グローバルな統一性と地域固有性の両立
  • イジュマー(合意)の重視 — トップダウンではなく、学者共同体の総意で方向を決める

シーア派の階層的・中央集権的モデルと対照的に、スンナ派はフラット・ネットワーク型に近い。「多元的正統性の組織運営」のモデルとして学ぶべき点が多い。

関連する概念

[シーア派]( / articles / shia) / カリフ / ウラマー / サラフィー主義 / ムスリム同胞団

参考

  • 原典: 『サヒーフ・アル=ブハーリー』『サヒーフ・ムスリム』(二大ハディース集)
  • 研究: 小杉泰『現代イスラーム世界論』名古屋大学出版会、2006

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