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概要
リーマン・ショック(Lehman Shock)は、2008年9月15日、米国の名門投資銀行リーマン・ブラザーズ(総資産約6400億ドル)が経営破綻したことを契機に発生した世界金融危機である。
国際的には「Global Financial Crisis」と呼ばれ、その震源・連鎖の規模において、1929年の大恐慌以来最大の金融危機とされる。
経過
震源は2007年夏頃から顕在化したサブプライム住宅ローン問題である。低所得者向け高リスクローンが、証券化商品(MBS・CDO)として世界の金融機関に広く保有されていた。
2008年3月、ベア・スターンズがJPモルガンに救済合併。9月7日、政府系住宅金融機関ファニーメイ・フレディマックが公的管理下に。そして9月15日、リーマン破綻。翌日にはAIGが事実上の国有化(連邦融資850億ドル)。
世界同時に信用収縮が発生し、株価は半値以下に。日本の日経平均は同年10月に7000円割れ。世界貿易は急減し、日本の輸出は前年比40%減となった。各国は協調利下げ・財政出動で対応したが、回復には数年を要した。
背景・影響
構造要因として、(1)超低金利下の過剰流動性、(2)住宅価格上昇を前提とした証券化商品の乱造、(3)格付機関の機能不全、(4)リスク分散を装ったリスクの連鎖集中、が指摘される。
米国ではドッド・フランク法で金融規制強化、バーゼルIII(国際規制)で銀行の自己資本比率要件が引き上げられた。中央銀行は量的緩和(QE)で大量の流動性を供給し、その後の10年以上にわたる超低金利時代の起点となった。
日本では、輸出産業が打撃を受け、派遣切り・年越し派遣村が社会問題化。2009年衆院選では民主党が政権交代を果たすなど、政治にも波及した。
現代への示唆
リスク分散はリスク集中に転化する
証券化は「リスクを薄めて分散する」仕組みだったが、実際には全金融機関が同じリスクを抱える構造を作った。分散化の設計が逆に脆弱性を生むケースは多い。
「Too Big to Fail」は倫理的危険である
救済される前提で過剰リスクを取る構造(モラルハザード)は再発の種となる。企業内でも、責任を問われない部門はリスクを取りすぎる傾向がある。
信用は一晩で消える
リーマンは破綻前夜まで名門だった。積み上げた信用も、一つの破綻で連鎖崩壊する。日常の財務健全性が最大のレピュテーション資産となる。
関連する概念
- サブプライムローン
- 証券化
- ドッド・フランク法
- 量的緩和