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概要
インターネット商用化とは、1969年の米国ARPANETから始まった学術・軍事用のコンピュータネットワークが、1990年代を通じて民間企業・一般市民に開放され、現代社会の基盤インフラとなっていった過程である。
約10年間で、メール・Webサイト・電子商取引・検索エンジンが次々に社会実装され、産業革命以来の構造変革を引き起こした。
経過
1969年、米国防総省のARPANETが稼働開始。73年にはTCP/IPプロトコルが設計され、83年に標準化された。
89年、欧州CERNのティム・バーナーズ=リーがWorld Wide Webを考案。93年にモザイク(後のネットスケープ)が登場、94年には商用ブラウザとして世界に普及した。
95年、米国科学財団が学術ネットワーク独占運営を終了し、民間ISP事業が本格化。アマゾン(94)、ヤフー(94)、グーグル(98)が相次ぎ創業した。日本では95年のWindows 95発売とダイヤルアップ接続普及で一気に大衆化した。
2000年のドットコム・バブル崩壊を経て、2000年代半ば以降はブロードバンド・スマートフォンを基盤とするSNS・クラウドの時代へと進化した。
背景・影響
インターネットの設計思想は「エンド・ツー・エンド原則」にある。ネットワーク中央には機能を持たせず、端末側で機能を実装する。この分散設計が、許可不要のイノベーションを可能にした。
商用化の最大の意義は、情報流通コストをほぼゼロに下げたことである。新聞・放送・小売・教育・金融など、情報の非対称で利益を得ていた業界が根本的再編を迫られた。
同時に、勝者総取り(Winner takes all)の構造が生まれ、プラットフォーム企業(GAFA)への富と権力の集中が進んだ。民主主義、プライバシー、雇用のあり方も再定義を迫られている。
現代への示唆
基盤技術は公共投資から生まれる
TCP/IP、Web、GPSなど、現代の民間ビジネスの土台はすべて公的投資の産物である。短期収益では育たない基盤研究への投資が、長期の国力を決める。
分散設計が変化を受け入れる
中央集権的設計は統制しやすいが変化に弱い。組織も、意思決定を分散させるほど新しい動きを取り込める。
無料化は破壊と創造を同時に起こす
情報流通の無料化は既存メディアを破壊したが、同時に新産業を生んだ。自社のビジネスが「もし無料化されたら」を問い続けることは、未来への備えとなる。
関連する概念
- ARPANET
- TCP/IP
- ドットコム・バブル
- プラットフォーム経済