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近代文学
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アンナ・カレーニナ
レフ・トルストイが一八七三年から七七年にかけて執筆した長編小説。高級官僚の妻アンナ・カレーニナが、若き士官ヴロンスキーと恋に落ちて家庭を捨て、社交界から疎外され、最後には鉄道自殺を遂げる。地主レーヴィンとキチイの結婚生活と並行して描かれ、家族・階級・信仰・農業近代化といった同時代ロシアの全主題を網羅する。
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カラマーゾフの兄弟
フョードル・ドストエフスキーが一八七九年から八〇年にかけて雑誌連載し刊行した最後の長編小説。放蕩な父フョードル・カラマーゾフと、激情家のドミートリー、無神論者のイワン、信仰者のアリョーシャ、私生児スメルジャコフという三人と一人の息子が、父殺しをめぐって交錯する。宗教・倫理・自由意志・社会変革の全問題を一篇に収めた思想小説の頂点である。
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モンテ・クリスト伯
アレクサンドル・デュマ(父)が一八四四年から四六年にかけて新聞連載した長編冒険小説。有能な若き船員エドモン・ダンテスは、嫉妬と陰謀により政治犯として十四年間シャトー・ディフの牢獄に閉じ込められる。脱獄後、モンテ・クリスト島の宝を得て莫大な富を手に入れ、モンテ・クリスト伯爵としてパリに現れ、周到な計画で敵たちを一人ずつ破滅させていく。
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罪と罰
フョードル・ドストエフスキーが一八六六年に雑誌連載した長編小説。ペテルブルクの元大学生ラスコーリニコフは、「非凡人は法を踏み越えてよい」という独自の論理に基づき、高利貸しの老婆とその妹を斧で殺害する。しかし予期に反して良心の呵責に苦しみ、聖娼ソーニャとの出会いを経て自首に至る。思想と良心の葛藤を凝縮した心理小説の傑作。
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ファウスト
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが六十年近い歳月を費やして書き上げた劇詩。第一部は一八〇八年、第二部は一八三二年、ゲーテ没後に刊行。あらゆる知を極めた老学者ファウストが、悪魔メフィストフェレスと魂を賭けた契約を結び、快楽・権力・美・事業を経めぐる。近代精神の野心と限界を凝縮した二万行超の大作である。
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グレート・ギャツビー
アメリカの作家F・スコット・フィッツジェラルドが一九二五年に刊行した長編小説。禁酒法時代のロングアイランドで、謎の富豪ジェイ・ギャツビーが、かつて愛した人妻デイジー・ブキャナンの関心を取り戻そうと毎晩豪奢なパーティを開く。語り手ニック・キャラウェイの視点から、華やかな一九二〇年代の裏にあるアメリカン・ドリームの幻想と空虚を描く。
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ハックルベリー・フィンの冒険
アメリカの作家マーク・トウェインが一八八四年に刊行した長編小説。酔漢の父から逃れた少年ハックが、売り飛ばされそうな黒人奴隷ジムと出会い、二人でミシシッピ川を筏で下る。南部社会の偽善・奴隷制・宗教・暴力を、子どもの素朴な視点から描くアメリカ文学の古典で、ヘミングウェイは「すべての近代アメリカ文学はこの一冊から始まる」と評した。
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レ・ミゼラブル
フランスの大作家ヴィクトル・ユゴーが亡命中の一八六二年に刊行した五部構成の大長編。徒刑囚ジャン・ヴァルジャンが司教の慈悲によって更生し、市長として生き直し、養女コゼットを育てる。革命家たちのバリケード戦、宿敵ジャヴェール警視との因縁、一八三二年のパリ蜂起を背景に、社会の悲惨と人間の尊厳を描ききった十九世紀小説の金字塔。
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白鯨
アメリカの作家ハーマン・メルヴィルが一八五一年に刊行した長編小説。捕鯨船ピークォド号に乗り組んだ青年イシュメールが語り手となり、白い巨鯨モービィ・ディックに片足を奪われた船長エイハブの執念の追跡を描く。捕鯨業の詳細な記述と、象徴に満ちた形而上的思索が融合した、アメリカ文学を代表する長編である。
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緋文字
アメリカの作家ナサニエル・ホーソーンが一八五〇年に刊行した長編小説。十七世紀のボストン清教徒植民地で、夫不在の間に娘を産んだヘスター・プリンは、姦通の罪として胸に緋色のAの文字を縫い付けられて晒される。彼女は相手の名を明かさず、若き牧師ディムズデイルの内面は罪責感に蝕まれていく。罪・恥・共同体・個人の尊厳を主題とする。
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若きウェルテルの悩み
二十四歳のゲーテが一七七四年に刊行した書簡体小説。若き芸術家ウェルテルが、友人に宛てて書き送る手紙の形式で、婚約者のいるロッテへの片思いの激情と絶望を描く。最後にウェルテルは自殺する。全ヨーロッパに爆発的な反響を呼び、青年たちの模倣自殺を生んだ疾風怒濤期の記念碑的作品である。
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戦争と平和
ロシアの文豪レフ・トルストイが一八六五年から六九年にかけて発表した大長編小説。一八〇五年から一八一二年のナポレオン戦争期を背景に、ボルコンスキー家、ロストフ家、ベズーホフ家、クラーギン家の貴族たちの生涯を織り交ぜて描く。五百人を超える登場人物と、歴史を動かす個人の役割を問う哲学的考察が結合した、十九世紀リアリズム文学の最高峰。