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現代思想
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加速主義
1990年代英国の哲学者ニック・ランド(1962-)らが発展させた現代思想。資本主義やテクノロジーの脱領土化作用を抑え込むのではなく、限界まで加速させて突破することで新しい地平を開くと主張する。左派加速主義(ウィリアムズら)と右派加速主義(ランド)に分岐し、シリコンバレーの加速思想とも交差する。
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AI倫理
AI(人工知能)の設計・運用・社会的影響に関わる倫理的問題を扱う応用倫理学の領域。2010年代の機械学習の爆発的進歩により、アルゴリズムのバイアス、ブラックボックス化、説明責任、プライバシー、自律兵器、雇用代替などが緊急の論点となった。EUのAI Actなど法制度化も進み、企業のAIガバナンスは経営課題となっている。
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ケア論
育児・介護・家事・医療など『他者への気遣いと世話』を意味するケアを、倫理学・経済学・政治哲学の中心に据え直す現代思想。1980年代ギリガンのケア倫理に始まり、ジョアン・トロント、キャロル・ハニッシュらを経て、近年は『ケアの危機(Care Crisis)』論として、新自由主義下で再生産労働が不可視化・搾取される構造を批判する。
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ホモ・デウス
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ(1976-)が2016年に刊行した『サピエンス全史』の続編。飢餓・疫病・戦争を克服したサピエンスが、次に『不死・幸福・神性』を目指すと論じる。バイオテクノロジーとAIが人間を作り変え、『データ教(Dataism)』が新しい宗教となる未来を警告。人間中心主義の終焉を示唆する書である。
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公正としての正義
ハーバード大学の政治哲学者ジョン・ロールズ(1921-2002)が1971年に刊行した『正義論』の中心概念。自分の能力・地位・人種を知らない『無知のヴェール』の下で選ばれる原理こそ正義だと論じた。平等な自由と、最も不遇な人の境遇を改善する『格差原理』を導出し、戦後政治哲学に最大の影響を与えた。
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マルチチュード
イタリアの政治哲学者アントニオ・ネグリ(1933-2023)と米国の理論家マイケル・ハート(1960-)が『〈帝国〉』(2000)と『マルチチュード』(2004)で提示した概念。グローバル資本主義下で、国民国家・階級・人民に還元されない、多様な差異を保ったまま共闘する新しい政治的主体を意味する。非物質的労働とネットワーク型運動が基盤となる。
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サンデル『正義』
ハーバード大学教授マイケル・サンデル(1953-)の講義『Justice』を元にした2009年の書籍『これからの「正義」の話をしよう』。功利主義・リベラリズム・コミュニタリアニズムの三大立場を、トロッコ問題・代理出産・同性婚などの具体事例で論じ、世界的ベストセラーに。NHK『ハーバード白熱教室』で日本でも爆発的人気を得た。
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実力も運のうち
ハーバード大学の政治哲学者マイケル・サンデル(1953-)が2020年に刊行した『実力も運のうち——能力主義は正義か?』。成功者が『自分の努力と才能』で勝ち取ったと信じる『メリトクラシー(能力主義)』が、敗者への軽蔑と分断を生んでいると批判。才能も環境も運であり、共通善に開かれた社会を取り戻すべきだと説いた。
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サピエンス全史
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ(1976-)が2011年にヘブライ語で刊行し、世界で2500万部を超えたベストセラー。人類史を『認知革命』『農業革命』『科学革命』の三段階で捉え、サピエンスの支配は『虚構を共有する能力』にあると論じた。『国家』『貨幣』『企業』『人権』すべては想像上の秩序である、という視点が経営・組織論に強い刺激を与えた。
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監視資本主義
ハーバード・ビジネス・スクールの名誉教授ショシャナ・ズボフ(1951-)が2019年に刊行した『監視資本主義』で定式化した概念。GoogleやFacebookに代表される、ユーザーの行動データを無償で収奪し、予測商品として広告主に販売する経済モデル。プライバシーの侵害を超え、民主主義と自由意志を脅かす新しい権力形態と批判する。